写真及びへなちょこショートショート


by shichirio
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至福の時間

独身である俺は、毎日会社へ通うサラリーマンだ。
会社で努力しても社長や部長にはなれない。独立することも、そんな思い切りはない。
毎日、部屋の片隅で窓から差し込む一筋の光に体を切られる思いをしている。
最近では、5分の1の会社員が退職を余儀なくされた。
自分に課せられた仕事は、特殊なためまだ首にはならないでいるが、いずれこの部門も廃止に追い込まれるだろうと感じている。
ある日、近くで発生した地震の影響で電車が止まった。
近くの駅は、帰省するサラリーマンでホームが満杯の状態だった。俺は、唖然としながらも駅へ向かった。
1時間ほどで、電車に乗り込むことができたのだが、いつもと違い満員だった。
男性も女性も、ぎゅうぎゅう詰めだった。
おれの斜め横に若い女性がいた。俺の体は反対方向から押され、女性の体に接触する。
身動きがとれない。すると、女性の動きに合わせかすかにそのぬくもりが服を通して感じる。
家族でもこんなに触れることがないのに、まして、他人の女性である。
俺は、苦しさを忘れそのぬくもりに酔いしれていた。
ふと、思った。こんなに幸せを感じることがあるなんて・・・・・
満員電車も時には、心を和ませてくれる。他人が見れば変態だろうが、こよなくこの数分の時間がわたしにとって至福の時間となっていた。
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by shichirio | 2012-06-08 22:19