写真及びへなちょこショートショート


by shichirio
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職業交換所 room 1

西武池袋線のとある駅
そこは、JR線と交差し互いの乗り換え通勤客が往来する駅である。
通勤時間帯は、駅間の1キロに満たないその間に数百人、数千人という人々が互いの肩がふれ合うほどにひしめき合っている。
そんな中、結婚14年目である、あるさえない男が毎日同じ電車に乗り、同じ道筋をたどり同じ時間に同じところを通過する。
その男はこの道を通るたびにいつも考えていた。
「毎日、毎日、皆何処に行くのだろう。なぜ、こんなにもの沢山の人々が行き交うのだろう?」
殆どの人は、黙々と足早に商店街を通過し、駅のホームに消える。反対側からの人も同じように黙々と商店街を通過する。
毎日が同じように過ぎ去っていく。
ある時、その通りの中央付近の宝くじ売り場の曲がり角にふと目をやると、その奥まった場所に小さなドアを見つけた。
「ん!・・こんなところに。」しかも、小さな文字で「職業交換所」と書いてある。
「なんだろう。? こんなところにあったことは今まで気がつかなかったな。」
いつもは、目にもとまらない場所で1メートル程の隙間があったことすら覚えていない。しかし、その隙間は、何かしら不思議な力が働いているように心に訴えていた。
「会社では、いつも上司に怒られるし、家では妻中心だ。早く帰っても、言葉すらかけてもらえない。」
しかし、その現実からは、逃れるすべはない。いくら、思考が繰り返えされても答えは見つからない。」
そんな自分を知らぬまま足だけがそこに向かっていた。
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by shichirio | 2008-07-21 16:21